平成元年1月11日、福島県から相馬市、新地町及び鹿島町(現在は「南相馬市鹿島区」)に対し真野ダム利用事業(洪水調整・不特定用水の補給・都市用水の供給)のうち都市用水の供給について地元市町で水道企業団を設立し、浄水場、配水管等の専用施設の建設運営についての打診があり、これを受け関係1市2町が県と協議のうえ、平成3年6月5日「相馬地域水道用水供給企業団設立協議会」を発足しました。
平成3年12月2日、厚生省(現在は「厚生労働省」)との協議により事業内容を水道用水供給事業から末端給水事業として事業認可を受けることとなったので、平成4年2月12日名称を「相馬地方広域水道企業団設立協議会」と改称し、平成4年8月17日、福島県知事より一部事務組合としての設立認可を得て「相馬地方広域水道企業団」として発足しました。
平成5年1月6日、厚生省より水道事業の認可がなされ、平成7年3月31日に相馬市・新地町・鹿島町の各水道事業を廃止し、同年4月1日から「相馬地方広域水道企業団」として給水を開始しました。その後、平成8年4月22日「大野台浄水場」からの給水開始を行い現在の給水区域面積は204.14k㎡、給水人口約5万6千人の規模となりました。
水道事業については、「福島県水道整備基本構想」及び「福島県浜通り地域広域的水道整備計画」に基づき、相馬市、新地町及び鹿島町の今後の水需要の増大に対処し、将来にわたり安定した水道水の供給を確保するため真野ダムの水源を核とした計画を樹立、事業費約177億円の創設事業に取組、平成4年度に着工し、平成14年度に完了しています。
石綿セメント管につきましては経年劣化が激しく埋設土壌等環境の影響を受けやすい配水管であるため、安全な飲料水の提供を目指し、各構成団体が昭和54年までに布設していた約26キロメートルについて、平成12年度に厚生労働省の事業採択を受け硬質塩化ビニール管・ダクタイル管に更新を行い、平成20年度までに事業を完了しています。
平成19年4月から福島県企業局から相馬工業用水道の包括委託を受け、工業用水道である初野浄水場、導水管及び配水管の維持管理を行っています。また、平成15年度から経費削減に取り組んだことにより、平成20年4月には平均で2%、平成29年4月にも平均で3%の水道料金値下げを実施しました。さらに、毎月検針から隔月検針・請求に移行し、検針委託料、料金用用紙、通信運搬費等を削減しています。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災による当企業団水道施設の被害内容は、全体で約300箇所、金額で約5億円に上りますが、構成市町の復興計画に基づき水道の整備を平成31年度終了予定として順次進めております。
また、「東日本大震災による災害被害者に対する水道料金の免除に関する規程」を制定し、料金の免除を実施しました。東京電力福島第一原子力発電所の事故による水道水への影響については、国が実施している検査の結果、放射性物質は検出されず飲料水としての安全性が確認されています。更に平成24年10月1日から水道水の放射性物質を測定するため、ゲルマニウム半導体検出器を導入しました。これについてもこれまで放射性物質は検出されておりません。平成27年度には地球環境負荷の低減に貢献するとともに、循環型社会の形成と自然環境共生を実現するための取り組みとして、真野ダムから大野台浄水場までの導水落差を利用した再生可能エネルギーである小水力発電導入により事務所内の電力を賄っております。
なお、平成29年度からは3台の小水力発電のうち1台の発電機で売電を開始しました。
今後も「未来まで残すぞ相馬のうまい水」をスローガンに水道の安定供給、有収率の向上及び水資源の有効利用を図ります。